2015.10.
ヤマノイモ / ナガイモ ヤマノイモ 科
山薬 サンヤク ) [ 局 ] 食用・漢方薬

■ ヤマノイモは、あまり暗くない山林などに自生する多年生のつる性草本です。 茎は明緑色から紫褐色で、他の樹木などにまきつき登ります。葉は幅の狭い心形で、先は尖り、表面は明るい緑色、やや光沢があります。普通は対生ですが、位置や個体によって互生になることもしばしばあります。 花期は 8〜9月、葉腋に球形状の小さな白い花の穂状花序をつけます。雌雄異株で、雄花序は花穂を上方に伸ばし、雌花序は下垂し、また花弁より大きな子房をつけているので、雌雄の判別ができます。 葉腋には球芽(きゅうが、ムカゴのこと)をつけ、栄養繁殖も行います。地下部に芋 ※1 を作り養分を蓄えますが、芋の長さは1m以上になります。 深く潜るため、野生品の掘り出しは労力が必要で、一般的には栽培品が流通しています。

ヤマノイモの果実は、扁平な円形の翼が3枚ついた形状です。 他のヤマノイモ属の果実は、やや縦方向に長くなりますが、ヤマノイモは横の方が長いので、果実の形状でも判断できます。 熟すと翼がはがれて、隙間から扁平な種子がこぼれます。種子の周囲には、薄い翼がついていて、風により播種されます。

※1 ヤマノイモ属の芋は、根や地下茎が肥大したものではなく、本属に特有の器官で、担根体(たんこんたい)といいます。
ヤマノイモ Dioacorea japonica Thunb.
ヤマノイモに似たナガイモは、もっぱら畑で栽培される種類で、こん棒状の芋が店頭に並びます。 つる性の多年草で、茎は紫褐色であることが多く、普通、葉は対生しますが、一部で互生となることもあります。 葉の質は厚く、葉身は心形で基部は張り出し、表面には光沢があります。葉縁は紫色を帯びることがあり、ヤマノイモ同様に葉腋には球芽ができます。花期は8月ころ。

属名 Dioacorea は、古代ギリシャの医者の名前由来。種小名 batatas は、南米現地語でいう「イモ」のことです。

■  ヤマノイモナガイモとも薬用とし、芋の皮をむき、乾燥したものを、山薬(サンヤク)と呼び、滋養強壮や糖尿病に用います。 一般的には、生薬というより、滋養のつく食品として知られます。ムカゴも食べることができますが、販売を見ることは稀です。

ナガイモ  Dioacorea batatas Decne.

オニドコロ ヤマノイモ 科
■ オニドコロの葉は互生し、ヤマノイモより丸みを帯びた心形で、先葉すぼまり尖ります。 雌雄異株で、雄花序は途中で枝分かれをして、多数の小花をつけます。雌花序は枝分かれしないで、子房の目立つ小花がつきます。 花被片は黄緑色で6個あり、平開します。果実は縦方向に長く、種子につく薄い翼は、周囲ではなく、一方向にだけつきます。

イモに毒性があるので、食用にするには、灰汁(あく)ぬきして流水にさらす必要があります。そのため、食品としての利用はなく、一部の地域で、芋の根を白髪に見立て縁起の飾り物としました。 種小名 tokoro は、オニドコロを指す野老(ところ) ※2 から。

※2 トコロは、カエデドコロ、ヒメドコロなどの一群の総称とされることもありますが、普通、オニドコロを指します。
オニドコロ  Dioscorea tokoro Makino
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