2015.09.
ヤブツバキ ツバキ科
ツバキ油  [ 局 ] 製剤原料・食用

■ ヤブツバキツバキは、本州以南で普通に見られる常緑樹で、高さは10〜15mになります。 材質が良いことから、需要が多く、利用できる大木はすでに切り倒されて残っていないとされます。葉や幹が綺麗で、大きな花を咲かせるので、庭木としても人気があり、園芸品種も多く創出されています。

ヤブツバキの葉は互生し、表面は濃緑色でツヤがあり、質は厚く、葉縁には浅い鋸歯があります。 花期は2〜4月、 花径は6cm内外と大きく、花弁は赤色で5枚あり、基部は合着します。雄しべは多数あり、白い花糸は下方で合着して筒状になり、さらに基部では花弁とも合着します。 そのため、咲き終わると、花は花弁と雄しべがまとまって、ポトリと落ちます。花の中心部には、黄色い葯に紛れるように雌しべがあり、普通、柱頭は3裂します。 蜜は、筒状になったおしべの底にたまり、花粉を媒介する小鳥 ※1 を誘います。 果実は普通2〜3cmの球形で、中には3個程度の種子が入ります。熟すと果皮が裂開して、硬い種皮につつまれた、球形の茶色い種子がこぼれます。

※1  花粉の媒介方法には、風に乗せる風媒花、昆虫の訪花による虫媒花がありますが、ヤブツバキは、メジロなどの小鳥が媒介する鳥媒花です。 鳥媒花は、重量に耐える丈夫な花、小鳥が認識できる赤色でアピールして誘う、反対に、小鳥は匂いが分からないため、香りをつけないといった傾向があります。  
 ヤブツバキ Camellia japonica L.
■ ヤブツバキの種子は、圧搾することにより、ツバキ油が得られます。 臭いが少なく、やや黄色く透明で、含有する脂肪酸は、酸化しにくいため保存性が良く、零下10度以下になって凝固が始まります。食用、頭髪用など、幅広い用途があり、医薬品では、軟膏の基剤に用いられています。 良質なツバキ油の産地ブランドとして、伊豆諸島の大島、利島が有名ですが、日本で使用されている量の約半分は、中国からの安価な輸入品が占めています。
和名ツバキは、艶のある葉から、艶木(つやき)転訛説、艶葉木(つやはき)転訛説、古語由来説など、諸説があります。属名 Camellia は、人名由来。 漢名のツバキは、「山茶」または「山茶花」。同じツバキ科のサザンカ ※2 に思い違いで、「山茶花」の名をあて、定着したものです。

※2  サザンカは初冬から咲き始め、外見はツバキと似ています。 種子からは油をとることができ、ツバキ油と同様の扱いをされます。両種の違いとして、サザンカは花弁も花糸も合着していないため、それぞれ別に散ります。 また、ツバキが平開することはありませんが、サザンカの花は平開します。園芸品種によっては、区別のつきにくいものもあります。種小名の sasanqua は、サザンカから。
Camellia sasanqua Thunb.
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