2015.09.
ワタ アオイ科
脱脂綿  [ 局 ] 衛生材料、繊維原料、食用油 他

■ ワタは、繊維を採る作物として、世界各地で栽培される多年生の草本です。 温帯では越冬できないため、一年草の扱いで栽培され、いかにもアオイ科らしいクリーム色の花をつけます。果実をドライフラワーのように乾燥させ、ワタのなる木などと称して店頭に並ぶこともあります。 日本で栽培されたのは、アジアメン Gossypium arboreum L.の栽培種で、インドで生じた キダチワタ 木立綿の系統から分化したものです。 15〜16世紀ごろから行われましたが、現在、系統保存や趣味以外の商用栽培はなくなっています。

ワタの草丈は1m前後あり、多数分岐します。葉は互生し、長い葉柄があり、葉身は長さ10〜15cmあって、普通、掌状に3〜5浅裂します。 花期は7〜9月、分岐した枝の葉腋に、花径5、6cmほどの花をつけ、花弁は淡黄色で5弁あり、基部は暗赤色に変わります。 雄しべは多数あり、花糸は合着して、花柱を筒状に囲んでつきます。花は3枚の大きな苞葉に包まれ、苞葉は果実が熟しても、なお残ります。 花は一日花で、午前中に開くと、夕方にはしぼみ、花弁は後に赤く変色します。

果実は先尖の球状で、初め緑色、熟すと褐色になり、裂開すると3個の白い綿の塊が露出します。綿の繊維は、乾燥するとふくらみ、ひとつの塊には、種子が数個入っています。 種子の表面には、表皮細胞が糸状に変形した綿の繊維が密生しています。

■ 薬用には、種子についている繊維を用います。脱脂し漂白して脱脂綿に、あるいは糸を作りガーゼに加工して、衛生材料として利用します。 日常品としては、衣服の原料に、また布団内の保温材などにされます。種子からは油脂が得られ、綿実油として食用に、石鹸などの油脂原料に加工使用されます。
なお、ワタの種子・綿実(めんじつ)は、抗菌殺虫作用がある成分ゴシポールを含有します。同成分は、除去が不十分なものを摂取すると、雄性原因の受精率の低下(不妊)になる作用があり、ヒトに対しても毒性を発揮します。

属名 Gossypium は、ふくらんだ果実の形を、腫れ物 gossum に例えたとされます。種小名 arboreum は、樹木の。 変種名 obtusifolium は、先が鈍形の葉を持った。indicum は、インドの 意味です。和名の由来は不明です。
ワタ  Gossypium arboreum L.var.obtusifolium Roberty
syn. Gossypium arboreum L.var.indicum Roberty / Gossypium nanking Meyen

■ カイトウメン 海島綿は、紡績向きに長い繊維がとれることから、高級品の素材になっています。 やや大型の草丈で、葉には艶があり、花弁は淡黄色で、基部の一部が暗赤色になります。 成熟の時期がやや遅く、温帯地域では成熟前に気温が下がってしまい、完熟の時期を逃します。そのため、栽培はほとんど西インド諸島に限定されています。
種小名 barbadense は、西インドのバルバドスの Barbados の意味。

■ リクチメン 陸地綿は、栽培ワタの3系統の内、最大の作付面積を誇ります。 北アメリカで発生した栽培種で、繊維はカイトウメンよりは短いもののアジアメンよりは長くなります。花弁は基部の色がやや濃くなる程度で、全体として統一されたクリーム色です。 もともとは多年草で、熟した果実を手摘みで収穫していましたが、一年草が作られたことから、機械化した大規模栽培がされるようになりました。
種小名 hirsutum は、粗毛ある の意味。
カイトウメン 海島綿 Gossypium barbadense L.
リクチメン 陸地綿 別名 キヌワタ Gossypium hirsutum L.
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