2015.09.
チョウセンアサガオナス科
成分・アトロピンなど [ 局 ] 有毒・製造原料

■ チョウセンアサガオ属 Datura の仲間は、世界の熱帯から温帯に渡り、広く分布しています。 薬用成分のアルカロイドを抽出する製造原料として植栽され、また観賞用としても広まっています。 成分は種子から取り出しますが、全草に同様の成分が含まれ、猛毒であることから、扱いには注意が必要です。

インド原産とされる チョウセンアサガオ は、草丈 1m程度になる一年草で、江戸時代に薬用として導入されました。 茎は太く、葉は互生し、葉身は広卵形で先尖、長い葉柄があります。花期は7〜9月ころ、葉腋に長さ15cm位のロート状の花をつけます。 花弁の色は白色や紫色があり、花冠は5裂し、裂片の先は細い突起になります。果実は球状のさく果で、刺が開出状に果実全体につきます。熟すと褐色になり裂開して、扁平な淡褐色の種子をこぼします。
ヤエチョウセンアサガオは、インドからエジプトに分布し、花弁が二重になるタイプです。 観賞用として栽培されますが、有毒成分は同じです。

■  チョウセンアサガオ が含有するアルカロイドは、スコポラミン やアトロピン などで、鎮痛、鎮痙に効果があります。

類似生薬 ハシリドコロベラドンナ
チョウセンアサガオ Datura metel L.
江戸時代に華岡青洲が、手術にあたって全身麻酔を施しますが、その際に配合された生薬のひとつ、曼陀羅華 ( マンダラゲ )としても知られます。 「チョウセン」の名前が冠されていますが、原産地を表すものではなく、外国から渡来したという意味でつけられています。 また、「朝顔」は、花形が似ているとしての命名で、 ヒルガオ科 Ipomoea 属の アサガオ とは無関係です。 属名 Datura は、この植物の ヒンズー名 から転訛した名前。種小名 metel は、ある飼料の名前からとされます。 ヤエ咲きの品種名 ’Floreplena’ は、八重咲きの(多数の)花を持ったという意味の flore-pleno からとみられます。
未熟な果実   ヤエチョウセンアサガオ Datura metel L. ’Floreplena’

■ ケチョウセンアサガオは、中南米が原産の一年草で、高さ1m前後になります。 北アメリカ原産とする説もあり、別名に アメリカチョウセンアサガオがあります。 葉は狭卵形から楕円形で、全体に短毛に覆われているので、やや灰白色を帯びた色合いになります。茎にも柔らかい毛が密生します。 花期は7〜10月ころ、ロート状の花冠は白色で、長さ15cm前後、花径10cmほどあります。果実の形状等は、前種と同様です。

■ 本種には野生状態の個体も多く、道路際や荒れ地などに見かけます。アメリカの先住民は、痛み止めなどで利用していたとされます。 種小名 wrightii は、人名由来、種小名 inoxia は、innoxia 無害な ( in〜 無、否定 + noxia 有害な ) の意味です。記載違いにより、学名では「n」がひとつ抜けています。
ケチョウセンアサガオ  Datura wrightii Regel
syn. Datura inoxia auct.non Mill.

■ キダチチョウセンアサガオは、南米原産で、日本では2m程度ですが、環境が良いと3m以上になる木本です。 和名よりも、英語名の エンジェルストランペット Angel's trumpet の方が知られ、観賞用として出回っています。

花期は 9〜11月頃、ガクは明緑色で筒状、先は5浅裂します。花冠はロート型(トランペット型)で、長さ30〜50cmになる大型のものを下向きにつけます。 花には芳香があり、色は白色、ピンク、オレンジ色など、先は5裂して、裂片の先は尾状突起になります。

■ 属名 Brugmansia は、人名由来。種小名 suaveolens は、芳香ある の意味です。 以前は、チョウセンアサガオ属 Datura とされていましたが、木本で、花が下垂するグループを、別属のキダチチョウセンアサガオ属 Brugmansia として分けました。
観賞用であっても有毒です。蕾をエディプルフラワー(食用花)と勘違いした誤食事故が発生しています。
キダチチョウセンアサガオ
Brugmansia suaveolens (Humb.et Bonpl.ex Willd.) Sweet
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