2015.10.
ハナトリカブト  / オクトリカブト キンポウゲ科
附子ブシ ) [ 局 ] 有毒・漢方薬

■ トリカブト(属)の多くは、全草に毒性があり、特に根にはアコニチンが多く含まれ、猛毒であることで知られます。 その毒性は蜜にもあり、ハチミツに混入すると、中毒を起こします。ストロファンツスとともに世界の4大矢毒のひとつで、アジアの温帯地方を中心とした狩猟民族に使用されました。 同じ種でも地域や環境で毒性の強弱があり、矢毒としての品質の善し悪し(=毒の強さ)は、根をかんで舌のしびれ具合で判断したとも伝えられます。もちろん有毒なので、危険がともなう判定方法です。

毒性の強い根を薬用部位としますが、そのまま生薬として使うことはなく、減毒の処理を行った加工ブシ(附子 ※1 )として使用します。 減毒処理をすると、鎮痛、代謝促進に、また体力の衰えている場合の強心に効果がでてきます。漢方では、鎮痛、強心作用を目的に配合されます。

※1 もともとは母根に生じた子株を、「母に附く子」すなわち「附子」と呼び、母根は、カラスの頭のような形をしているので、烏頭(うず)といいました。 現在は、減毒処理をしたものを、加工ブシ(附子)といい、加工前のもの烏頭と呼ぶことがあります。

トリカブトの名前は、烏帽子(えぼし)や雅楽奏者のかぶる物に似るからとする説、鶏のトサカに似るからとする説などがあります。英名は monkshood 修道士のフード で、やはり被り物。 属名 Aconitum は、地名 Acone からとも、投げ槍(に毒を使った) からともいわれますが、語源不明のギリシャ語由来とされます。

■ 花弁様のものはガク片で、烏帽子(えぼし)型の頂ガク片1個、円形の側ガク片2個、楕円形の下ガク片2個の計5個からなります。 本来の花弁は2個の蜜腺器官になっていて、雄しべの奥、頂ガク片の下にあり、外からは見えにくい形状になっています。 花弁は管状で、直立したのち上部で前方に折れ曲がり、後方には距が伸び、[イ ]または[ T ] 字状になります。雄しべは多数、雌しべは数個あります。果実は袋果で、種子は小さく軽く、風に飛ばされて散布されます。

中国原産のハナトリカブトは、名前の通り、大きく見栄えのする花をつけます。冷涼な気候を好む多年草で、茎は直立し、葉は互生、葉身は円心形で3深裂します。 側裂片が大きく2裂するので、5深裂のように見え、各裂片はさらに小さく裂けます。夏から秋にかけて、茎頂や上部の葉腋に円錐花序をつけ、花はまとまって付き、鮮やかな青紫色をしています。
ハナトリカブト Aconitum chinense Siebold et Paxton
■ 加工ブシには、日本産のオクトリカブトも基原植物とされます。 毒性の強い種で、中部以北から北海道南部に自生し、半日陰のやや湿った林床を好み、高さは1mを上回る程度になります。 葉身は円心形で3裂し、側裂片はさらに2〜3裂し、全体では5〜7裂のように見えます。花は、3.5cm程度とやや大きく、花柄には屈毛があり、花糸には毛が散生します。
和名は、陸奥(みちのく〉に多いことから。亜種名 subcuneatum は、sub 〜に類する、やや + cuneatum くさび形の の意味です。
オクトリカブト Aconitum japonicum Thunb.subsp.subcuneatum (Nakai) Kadota

2015.10.
ヤマトリカブト  キンポウゲ科
■ 日本のトリカブト属は、狭い地域に分布する種が多いという特徴があります。 そのなかでヤマトリカブトは、関東から中部地方の広範囲に分布する、最も普通に山野に見られる種です。 分布域の低山に自生し、薬用ではないもののオクトリカブトに次いで毒性が強いとみられています。草丈は 1m程度で、花柄の毛は屈毛、花糸にもまばらに毛が生えます。 茎は初め直立しますが、花の時期には、花序の重みで斜めの傾きます。
ヤマトリカブトAconitum japonicum Thunb.
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