2015.08.
ヌルデ  ウルシ科
五倍子 ゴバイシ ) [ 局 ] 製造原料

■ ヌルデは、日本から東南アジアまで広く分布する、雌雄異株の落葉小高木です。 日当たりの良い林縁部などによく見られ、ギャップ更新が起きたとき(倒木、山火事などで空間ができたとき)、他の樹木に先駆けて生えるパイオニア植物 ※1 です。 種子は、成長に適した環境が訪れるのを、待ち続け、日当たりが良くなると発芽しますが、林床では20年以上の寿命があるといわれます。

葉は、奇数羽状複葉で互生し、小葉間の葉軸に翼をつける特徴があります。花期は8〜9月、枝先の円錐花序に、多数の黄白色の小花をつけます。 雄花は、がく片5、花弁5、雄しべ5個からなり、花冠の外面には軟毛があります。果実は扁平球で、長径 5mm程度になり、10月ころに熟し、果実表面には塩辛い味の白い分泌物がつきます。

※1  裸地となった区域に、最初に生えて来る植物のことで、先駆植物ともいいます。 その裸地の気候や環境により、先駆植物も傾向が異なってきます。ヌルデは成長が早いものの、永い年月が経ち、後から成長する高木の陰樹に陽を遮られるようになると、枯れてしまいます。

■ 薬用には、虫こぶ ※2 を利用します。 ヌルデシロアブラムシが、葉軸などに寄生すると、ヌルデは袋状の不定型な虫こぶをつくります。 これを乾燥したものが生薬の五倍子になります。
ヌルデ  Rhus javanica L.
多量のタンニンを含有し、抽出精製されるタンニン酸 [ 局 ] は、収斂の作用があり、止瀉薬や止血、鎮咳、うがい薬などに利用されています。 また、皮なめしや染料の原料にも使われます。昔、既婚女性が歯を黒くするお歯黒という習慣があった時代、フシ 麩子 と呼ばれた五倍子の粉末を利用しました。
和名は、幹を傷つけてでてくる樹液を、塗料に利用したので「塗る手」に由来するといわれます。属名 Rhus は、ギリシャの古名由来。種小名 javanica は、ジャワの。

※2  虫こぶは、寄生されることによりできる、組織が異常に膨張する こぶ状の突起のことで、虫嬰(ちゅうえい・・正しくは嬰に病だれ) といいます。 ヌルデシロアブラムシによってつくられた虫こぶは、耳に見立ててヌルデノミミフシ(虫そのものを指すこともあります)といいます。多くは中空で、内壁にはクローンのアブラムシがびっしりと並んでついています。
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