2015.06.
アンズ  バラ科
杏仁 キョウニン ) [ 局 ] 漢方薬

■ アンズは、中国原産の落葉小高木で、杏林(きょうりん)の故事 ※1でも知られます。 奈良時代に渡来したとみられ、古くは カラモモ(唐桃)と呼ばれました。 葉の展開前の3〜4月頃に、白色から淡い紅色の5弁花を咲かせます。ガク片は赤色、雄しべは多数あり、ごく短い花柄で枝につきます。 葉は花の盛りの時期に芽吹き、展開すると葉身は卵円形で鋸歯があり、葉柄は2〜3cmで互生します。

果実は球形の核果(かくか) ※2 で、熟すと橙黄色になります。果肉には酸味があり、生食ができる他、加工してジャム、果実酒、ドライフルーツなどに利用されています。 薬用には、堅い核の中の種子を利用します。生薬名を杏仁(きょうにん)といい、鎮咳を目的に喘息のための漢方処方や、呼吸困難のときのキョウニン水に用います。 また、日本でデザートとされる杏仁(あんにん)豆腐は、元々は薬膳料理のひとつでした。粉末にした杏仁(きょうにん)を入れて作りましたが、デザートの場合は、香りがついている程度です。

■ 和名には、漢名の杏子がそのまま使われています。学名の中で Prunus armeniaca は、原産地をアルメニアと間違えてつけられたものです。変種名 ansu は、杏子から。 APG分類ではアンズの属の見直しがされ、Prunus 属(スモモの意味)から、アンズ属 Armeniaca に分類されました。種小名 vulgaris は、一般の、普通の の意味です。

※1  呉の国の医者・薫奉(とうほう)は、貧しい患者には治療代の代わりに、アンズの苗木を植えさせた。 やがて苗木は生長して、りっぱなアンズの林になった。以来、名医を杏林と呼ぶようになったということです。
※2  核果は、内果皮が硬く変化した核(殻)の中に種子があり、核の周囲を外果皮などの果肉が包む果実のことです。  
アンズ Armeniaca vulgaris Lam. ( Prunus armeniaca L.var.ansu Maxim.)

2015.06.
モ モ  バラ科
桃仁 トウニン ) [ 局 ] 漢方薬

■ モモはアンズと同様に、中国原産の落葉小高木です。 春、葉が展開する前に淡い紅色の5弁花を咲かせます。花径はアンズより大きい 3〜4cmで、雄しべは多数あり、花糸は花弁よりも濃い色合いになります。 葉は互生して、葉柄は1cm程度、葉身は被針形で鋸歯があります。果実は大型の核果で、果皮の表面には細毛が密生します。7〜8月に熟す果実は、水分を含んでみずみずしく、生食されます。
弥生時代後期から古墳時代には、桃は特別な果実とされ、祭祀の供物に使われたとみられています。古墳時代の纒向遺跡(奈良県桜井市)からは、大量の桃の種が発見されています。
■ モモの葉は、タンニンなどを含み、湿疹やあせもに効果があります。乾燥した葉を布袋などに適量入れて、そのまま入浴剤として使えます。 抽出した成分をローションなどに利用することもあります。薬用には、アンズと同様に種子を利用し、生薬名を桃仁といい、駆於血、通経、緩下など、婦人病の漢方処方に配合されます。 桃仁は、杏仁よりも大きく扁平で、やはりアミグダリンが薬用成分になりますが、杏仁とは使い分けがされています。

和名については、「真実(まみ)」が転じたとする説、沢山なるので「百(もも)」からきたなどの諸説があります。 APG分類では属の分類が変更になり、属名 Amygdalus は、アーモンドの古名に由来します。以前は、アンズやスモモと同属でしたが、APGでは3種とも別の属とされました。 種小名 persica は、ペルシャ産 の意味です。実際の原産地は中国なので、アンズと同じく原産地を間違えてつけられました。
モモ Amygdalus persica Linn.( Prunus persica Batsch.)
このページの先頭へ