2015.07.
カラスビシャク  サトイモ科
半夏 ハンゲ ) [ 局 ] 漢方薬

■ カラスビシャクは日本全土に分布し、半日陰から日当たりの良い道ばたや田畑に自生する多年草です。 繁殖力が強く、耕作地に侵入されると、なかなか根絶できないに強害草になります。

葉は塊茎から長い葉柄を伸ばし、先には3小葉をつけ、小葉は長楕円形で先は尖ります。葉柄の途中と小葉基部には、球芽(むかご)をつけます。 初夏に、葉よりも高い位置に花茎を伸ばし、茎頂には仏炎苞に包まれた肉穂花序をつけます。花序の上部に雄花、下部に雌花がつき、花軸の上方は細長い付属体になります。 付属体は、基部付近が黒く、仏炎苞の開いたところから上に長く伸び出て、全体の高さは30cm程度になります。花後の果実は、液果で花軸に密につきます。

■ カラスビシャクの塊茎のコルク質を除いたものを、生薬名・半夏(ハンゲ)といいます。 そのままではえぐみが強くて飲めないため、生姜などを加えた処方として利用します。吐き気どめ、鎮静、たんを切るなどの効能があり、半夏寫心湯や、小柴胡湯の漢方処方に配合されます。

和名の由来は、仏炎苞をカラスが使う小さな柄杓に例えたもので、別名には、スズメノヒシャク、キツネノヒシャクなどもあります。 また駆除が大変なので「百姓泣かせ」や、反対に ヘソクリ ※1 といわれることもありました。 生薬名は、夏の半ばに花が咲くとした漢名の 半夏 ※2 から。属名 Pinellia は、人名由来。 種小名の ternata は、三数の という意味です。

カラスビシャク
Pinellia ternata Breitenbach
※1 年寄りが孫の子守をしながら少しずつ取り貯めて、まとまると生薬業者に売って小遣いを得たことから。 他に、生薬にある凹みが、へそに似ていることを理由とすることもあります。本来のヘソクリの語源とは別です。

※2 季節を表す七十二候のひとつの半夏生(はんげしょう)は、半夏(カラスビシャク)が生える (=花が咲く )時期としてつけられたとされます。毎年7月2日頃にあたります。ドクダミ科のハンゲショウ Saururus chinensis の葉が半分白くなって半化粧する頃という説もあります。
@ 半夏 / A 葉柄途中のむかご / B 小葉基部のむかご

オオハンゲ  サトイモ科

■ カラスビシャクと似ているものに、本州・近畿北陸以西に分布する、やや大型のオオハンゲがあります。 山地などの日陰に自生する多年草で、葉柄の長さはカラスビシャクの倍程度あります。葉は3深裂し、裂片の幅は広く、側裂片は明瞭に非対称です。 カラスビシャクのように、完全な深裂ではなく、3つの裂片基部はつながっています。仏炎苞や花軸の付属体は、緑色で太く、全体の高さは40〜60cmほどになります。

大きさの他に、両種の相違点は、オオハンゲ
(1) 葉の裂片基部がつながっていること。
(2) 葉の高さが、仏炎苞に近い位置にあること。
(3) 花軸の付属体は基部も緑色であること。
などが挙げられます。

薬用としての利用は不明です。和名は、大型の半夏としてつけられています。種小名の tripartita は、三深裂した という意味です。
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