2015.07.
ウラルカンゾウ  / スペインカンゾウ  マメ科
甘草 カンゾウ ) [ 局 ] 漢方薬・甘味料

■ 生薬カンゾウの基原植物 ※1 は、ウラルカンゾウスペインカンゾウで、主根やストロン(走出茎、ほふく茎)を使用します。 鎮痙・鎮咳・抗炎症などの効果があり、葛根湯や芍薬甘草湯をはじめとした漢方薬に処方され、同時に、砂糖の200倍の甘みがあることから、矯味料としての働きもしています。 一般用漢方処方 ※2 の約7割に配合される重要な生薬で、主成分のグリチルリチン酸は、スキンケアクリームや練り歯磨きなどにも利用されています。 甘みについては、醤油を初めとした食品の甘味料として使われ、その使用量は薬用の数倍に達するとみられます。

ウラルカンゾウは中国北部から、モンゴル、ロシアに分布し、半砂漠の乾燥した草原に自生する多年生草本です。 草丈は50〜100cm、葉は奇数羽状複葉で互生し、小葉は広楕円形、短毛に被われ縁は上下に波打ちます。花は淡紅紫色から紅紫色で、初夏から夏にかけて、総状花序に蝶形花をつけます。 果実は左右にくねり、鞘の表面には短い刺があり、光沢がある種子をつけます。乾燥した土地の植物であるため、主根は2mほどの深さまで伸びます。

湿潤な気候の日本では、乾燥地の植物は露地栽培に適さないとされます。 日本は100%輸入に頼っていますが、大部分を依存していた中国の生産量が減少したため、調達手段のひとつとして、自国生産の栽培技術の開発が進められています。 技術開発には薬業・農業関係だけでなく、他業種や一部自治体も加わっていて、カンゾウの持つ重要性を表しているといえます。
カンゾウは、根やストロンに甘みがある草なので、甘草とされ、属名 Glycyrrhiza も、甘い根 の意味で、和名と同じ理由によります。種小名 uralensis はウラル地方の、ウラル産の の意味です。

※1 生薬の基として指定される植物のこと。
※2 2013年時点で厚生労働省に認可されている漢方処方で294処方あります。
ウラルカンゾウ Glycyrrhiza uralensis Fisch. スペインカンゾウ Glycyrrhiza glabra L.

■ スペインカンゾウは、地中海沿岸から中東、ロシアまで広く分布する多年生草本です。 草丈はウラルカンゾウよりやや大きく140cmほどになり、葉は奇数羽状複葉で互生し、小葉は楕円形です。茎の上部の葉腋に総状花序をつけ、花は淡赤紫色でウラルカンゾウよりも小型です。 マメの鞘には毛がなく、また、ウラルカンゾウよりストロンをよく伸ばすとされます。

英語名は リコリス ※3 ( または リコリシュ、liquorice、licorice )。 欧米ではスペインカンゾウの甘味料を使用した菓子を、リコリス菓子と呼び親しんでいます。 日本の輸入量は少量で、生薬カンゾウの原料にもされますが、多くは抽出原料とされます。種小名 glabra は、毛のない、滑らかな、平らな の意味です。
広い範囲に分布することから変種※4もあって、母種スペインカンゾウを G.glabra var.typical (代表的な、基準種の意味)とすることもあります。

※3 ヒガンバナ属もリコリスといいますが、ギリシャ神話のニンフ Lycoris からきているので語源が異なります。
※4 ロシアカンゾウ var.glandulifera、ペルシャカンゾウ var.violacea などがあります。
ウラルカンゾウの種子と果実 スペインカンゾウの果実
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