2015.06.
イネ  イネ科
コウベイ 粳米 [ 局 ] 漢方薬 コメデンプン 米澱粉 [ 局 ] 賦形剤

■ 人類が食料にするなかで、イネ は最も重要な作物のひとつです。 日本の稲作は弥生時代に始まったとされてきましたが、プラント・オパールの検出 ※1 により、縄文前期(6000年前)には初期の稲作が行われていたという説も出されています。

熱帯アジア原産で、主にアジア地域で栽培されますが、日本では品種改良により、冷涼な気候の北海道まで栽培を拡げています。 熱帯では多年草になることもありますが、温帯の栽培イネ は冬の低温で枯れるため、一年草の扱いになります。 高さは90cm程度になり、根際で多数に分岐して、茎頂に花序をつけます。
風媒花であるため、花弁やガクはなく、花の保護器官として穎(エイ) ※2 がつきます。 穎は籾殻にあたる部分で、2つの穎が子房を囲み、内側を内穎、外側を護穎(または外穎)といいます。品種によっては、護穎の先端が長く伸びて、ノギ(芒)になります。
花期は8〜9月、朝の内、穎が開いて雄しべを伸ばし、2〜3時間後には、葯を外にのこしたまま閉じます。雌しべは穎の中に隠れたままで、同じ花の花粉で受粉(自花受粉)します。 受粉したイネの穂は、初めは垂直に立っていますが、結実すると重みで徐々に稲穂が垂れ、10月には収穫されます。
イネ  Oryza sativa L.
■ 種皮を取り除いた種子は粳米(コウベイ)といい、健胃、滋養強壮の漢方薬に配合され、米のデンプンは薬の賦形剤として用いられます。 また、コメを蒸して発酵させたものは、神麹(シンギク)といい、滋養、消化、止瀉の漢方薬に使用されます。米ヌカを圧搾して得られる脂肪油は、軟膏基剤や石鹸材料などに利用されます。
属名Oryzaは、アラビア話の 米 eruz に由来。種小名sativaは、栽培された の意味です。



※1 プラント・オパールは、植物が土壌中の珪酸を蓄積して作るガラス質の細胞体のことです。 植物によって形状が異なり、長期に残存するので、これを土壌中から検出することにより、過去の植生が推測できます。 ただし イネ のプラント・オパールは小さいため、新しい時代のものが古い時代の土壌に流れ込んでいる可能性もあります。 そこで、検出が即ち証拠にはならないとする指摘もあります。

※2 穎は、苞葉のひとつのタイプで、イネ科やカヤツリグサ科に特有な進化の形態です。 花を穎花(えいか)、穎に包まれている果実(籾の状態。イネの果実は玄米。)を穎果(えいか)ともいいます。
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