2015.06.
ヒガンバナ  ヒガンバナ科
石蒜  セキサン 有毒・製薬原料

■ 秋のお彼岸のころに咲く ヒガンバナは、沢山の地方名を持っています。 梵語からきたといわれるマンジュシャゲ、お彼岸から連想?されるジゴクバナやハカバナ、シビトバナ、ドクバナなどのちょっと怖い別名。 他に、意味不明のものなど、細かく分けると数百以上あるとされます。別名が多いのは、それだけ生活の近くで親しまれていたためともいえます。 園芸店では、ギリシャ神話のニンフからつけられた属名 Lycoris の名前で並ぶことがあります。英名ではスパイダー・リリーいう呼び名もあります。 地域により、人により連想の仕方が随分と異なるものです。

ヒガンバナは、9月に鱗茎(球根)から、高さ60cm程度の花茎を立ち上げます。茎頂には5〜10個の花がつき、丁度、彼岸の頃に開きます。 花被片は赤く細いリボン状で、内花被3外花被3の6枚があり、弧を描いて反り返ります。おしべは6本、めしべは1本で、いずれも長く、外側に伸び出します。
花が終わってから、線形の葉が出始め、冬を越します。他の草木が成長している翌年の5月ころ、葉は枯れて地上部はなくなり、球根は夏眠に入ります。 この葉と花を同時に見ることがないことから、ハミズハナミズ(葉見ず 花見ず)と呼ばれることがあります。

日本にあるヒガンバナは、3倍体であるため、種子をつけても不稔性で発芽はせず、分球によって個体数を増やします。 原産地の中国には2倍体のヒガンバナがあり、正常な種子をつけます。
ヒガンバナ Lycoris radiata Herb.
■ ヒガンバナが日本に移入された経緯には、諸説あります。

1. 川に流れ出した球根が、そのまま海流に乗り、日本に漂着したとする説。海流散布の種子と異なり、海水による発芽能力への影響があるので、難しいともいわれます。

2. 日本列島と大陸が陸続きのときに、300万年程度かけて繁殖地域を拡大して移ってきたとする説。期間中の気候変動が考慮がされていないという疑問もあります。

3. 人の手により、食料として持ち込まれたとする説。鱗茎にはデンプンが含まれ、水にさらすことで水溶性の毒性分を抜いて食料にしたというもの。 ヒガンバナの分布域が人の生活域に一致していることが根拠のひとつとされます。人為説は、稲作伝播と同時に移入されたという主張もあります。
ヒガンバナの葉

■ ヒガンバナの鱗茎は、生薬名を石蒜 ( セキサン )といい、痰をきるとして製薬原料にもされました。 現在の利用は不明ですが、毒性があるので、民間での利用は厳禁です。民間療法では、鱗茎をすりつぶして布に包みシップ剤とし、むくみなどをとるのに用いました。

属名 Lycoris は、ギリシャ神話のニンフ由来。種小名の radiata は、放射状の の意味で、花の姿からつけられたとみられます。 なお、シロバナマンジュシャゲは、ヒガンバナの白花品ではなく、別種になります。 種小名の albiflora は、白い花の意味です。
シロバナマンジュシャゲ Lycoris albiflora Koidz.
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