2015.05.
エンゴサク  ケシ科
延胡索 エンゴサク ) [ 局 ] 漢方薬

■ エンゴサク 延胡索は、中国東北部から朝鮮半島に分布し、明るい林床などに自生する多年草です。 春植物のひとつで、高さは10〜20cm、葉は互生し、3〜7つに深裂して、裂片は長さ2cmほどの長楕円形になります。 3月から4月初め頃、茎頂に花序をつけます。 花は赤紫色で、外側2弁、内側2弁の4花弁です。外側の2花弁は筒状になり、上の花弁が後方に伸び距を作り、前方では下方の花弁と唇形状になります。 内側の2弁は、先端が合着して、上下花弁の間から先端部分を覗かせます。苞葉があり、卵形で先端は2〜3浅裂します。5〜6月には、新しい塊茎を作って休眠します。

■ 薬用には塊茎の外皮を除いたものを利用し、含まれるコリダリンやプロトピンなどのアルカロイドは、中枢抑制、鎮痛、鎮痙、胃液分泌抑制、子宮収縮作用があります。 作用が激しいため、民間での使用はなく、普通、有毒植物とされます。 和名・生薬名とも、漢名の延胡索の音からつけられています。 属名の Corydalis は、欧州の ヒバリ(雲雀)由来、花の距からの連想。種小名 turtschaninovii は、人名由来(Turczaninovii )と思われる。 品種名およびシノニムの種小名 yanhusuo は、延胡索の中国語の音からつけられています。
エンゴサク Corydalis turtschaninovii Besser
forma yanhusuo Y.H.Chou et C.C.Hsu
/ syn. Corydalis yanhusuo W.T.Wang

ジロボウエンゴサク / ヤマエンゴサク / エゾエンゴサク
■  ジロボウエンゴサクは、関東以西〜九州の山野に自生する草丈5〜20cm程度の多年草で、やや湿った明るい林縁などによく見られます。 春、球形の塊茎から、茎を立ち上げますが、しばしば斜上するか横に這います。葉は2回3出複葉で互生し、小葉はさらに2〜3裂します。茎頂に長さ2cmほどの淡紅紫色〜淡青紫色の花を数個つけます。 花柄の基部には苞葉があり、卵形の全縁で先端が尖ります。果実の長さは1.5〜2.0cm程度で、果実が出来る頃には、他の草が成長するのに埋もれて目立たなくなります。

ジロボウエンゴサクやエゾエンゴサクなどは、生薬の対象から外れています。有毒成分を含むことは、他のエンゴサクと同様です。 和名のジロボウエンゴサクは、漢名と地方名のジロボウ ※1 を由来としています。 種小名 decumbens は、横臥したの意味。

※1 昔、伊勢地方では、本種を次郎坊(ジロボウ)、スミレを太郎坊(タロボウ)と呼び、 2つの花の距を引っ掛けて引き合うという子供の遊びがあったといわれます。
ジロボウエンゴサク
Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.

■ ヤマエンゴサクは、日本では本州〜九州の山林に自生する多年草で、全草に有毒成分を含みます。 春、まだ他の草が伸びる前に、湿った林縁や明るい半日陰で見られます。塊茎から普通1本の茎を立ち上げ、草丈は10〜20cm程度になり、茎頂の花序に数個の花をつけます。 花冠は赤紫〜青紫色の筒状で長さ2.5cmほど、花柄の基部には苞葉があり、先端が3〜4裂します。葉の質は薄く、3出複葉で、小葉は全く裂けない狭葉品から、丸い葉が深裂するものまで変異があります。

種小名 lineariloba は、線形に裂けたという意味です。採取した標本の小葉が、深裂型の裂片だったと想像されます。別名 ピッチリ は、花をつぶしたときの音から。

■ エゾエンゴサクは、北海道の平地から、本州北部の日本海側に自生する多年草です。 北海道では群生することもあり、地域の春植物を代表する花のひとつです。ヤマエンゴサクよりやや大型で10〜30cmほど、総状花序の花は青色、赤紫色、白色など変異があります。 葉は3出複葉で小葉は丸みを帯び、先は鈍頭、苞葉は卵形で前縁です。

昔、アイヌの人たちは、エゾエンゴサクの塊茎をつぶして、水にさらして食用(餅)にしたとのことです。種小名 ambigua は、疑わしい、不確実の。
ヤマエンゴサク
Corydalis lineariloba Sieb.et Zucc.
エゾエンゴサク
Corydalis ambigua Cham.et Schltdl.
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