2015.05.
ジギタリス  オオバコ科 ← ゴマノハグサ科)
成分 ジギトキシン  [ 局 ] 有毒

■ ジギタリスは、ヨーロッパ原産の2年生または多年生 ※1 草本で、1年目は根生葉だけで過ごします。 2年目以降に茎を直立させ、50cm〜150cmの草丈になります。茎には葉が互生し、葉身はやや幅の広い長楕円形で、網目状の葉脈が目立ちます。 葉はヒレハリソウ(ムラサキ科)と似ますが、ジギタリスには葉縁に小さな鋸歯があります ※2

※1  本来、ジギタリスは宿根草ですが、暑さに弱く、暖地では夏越しできないで枯れます。 そのため、園芸上は2年草の扱いになります。夏越しができるような地域では、宿根草になり多年草とされます。
※2  以前、可食とされたヒレハリソウは、含有するピロリジジンアルカロイドが健康被害を起こすことが分かり、食品としての販売が禁止されました。 苦みで区別ができるとされたジギタリスは、ジギトキシン digitoxin (有毒)が含まれ、飲み込むと嘔吐や心臓停止による死亡につながることがあります。 両種とも、栽培は観賞の用途に限定されます。

5〜6月ごろ、直立した茎頂に、総状花序をつけます。花冠はやや下向きに咲き、唇形状の釣鐘型、先は4〜5裂し下部側の裂片は他よりも大きくなります。色は赤紫や白、ピンクなどがあり、花冠の内側には斑点があります。 指サックのような花の形から、英名は Fox Glove 、和名は直訳してキツネノテブクロ。属名の ジギタリス Digitalis も、指を意味する digitus 由来。 種小名 purpurea は花の色から、紫 の意味です。西欧の呼び名 ※3 には、毒性が強いことから、恐ろしいものも多くあります。

※3 妖精の手袋 Fairy's Glove 妖精がキツネの足音がうるさいので、ジギタリスの花を履かせて足音がしないようにした。
狐の手袋 Fox Glove 悪戯な妖精が、キツネにジギタリスの花を履くと足音がしないと教え、以来、キツネは、足音を立てずに鶏小屋に忍び込むことができるようになったという言い伝えから。
他に、魔女の手袋 Witches' Gloves、死者のベル Dead Men's Bells、聖母マリアの手袋 Gloves of Our Lady など。

■ ジギタリスの薬効は、当時、魔女の秘薬といわれる民間療法から見出されました。 英国の医師ウィザーリングは、回復困難とみられた心不全の患者が、「秘薬」により救命されたことから、配合されていたジギタリスに強心作用があることをつきとめました。 以来、うっ血性心不全の特効薬とされ、乾燥した葉を強心利尿薬の生薬とし、後には合成成分が用いられました。 現在、日本薬局方から生薬のジギタリスは削除されていますが、成分のジギトキシンは継続して医薬品とされています。
 ジギタリス Digitalis purpurea L.

2015.05.
ケジギタリス  オオバコ科 ← ゴマノハグサ科)
成分 ジゴキシン  [ 局 ] 有毒
■ ジギタリスの類似生薬(便宜上、生薬とします)に、ケジギタリスがあります。 成分 ジゴキシン digoxin には、ジギトキシンより体内残留性が少ないという特徴があります。毒性が減少し、優れた作用もあるため、強心薬とされています。

ケジギタリスはヨーロッパ原産で、高さは50〜100cmあり、葉は互生し、細長い披針形で 短毛が密生します。 ジギタリスのような葉脈に沿った網目状のくぼみはなく、主脈から伸びる側脈が目立ちます。茎は直立し、大きく枝分かれしないものの、下部では葉腋から総状花序の花穂をのばします。 花期は5〜8月ころ、花はジギタリスよりも小型で丸みがあり、色は黄白色、下側の唇弁状裂片は白色、内側には黄褐色の網目模様がつきます。
和名の通り、花冠、5枚のガク片などには、軟毛が密生します。種小名の lanata も、軟毛のある の意味。
ケジギタリス Digitalis lanata Ehrh.
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