2015.03.
アマチャ アジサイ科アジサイ属 ←ユキノシタ科
甘茶 アマチャ ) [ 局 ] 甘味料・矯味料
■ アマチャは、本州の林に自生する高さ1〜2mの落葉低木です。 ヤマアジサイの一系統で、甘味がある葉を持つ個体を、選別した変種になります。 広義のアマチャとしないのは、甘茶の製造用の栽培品種には他の系統も含まれるため、単独の種とは認められない※1ことによります。

葉は卵形で鋸歯があり、先端は尖り、しばしば葉柄とともに赤紫色を帯びます。花期は5〜6月、枝先につく散房花序は、中心に多数の両性花があり、周りを淡紫色の中性花が縁取り囲みます。 両性花は濃紫色で、小さな花弁が5個、雄しべ10、雌しべは3〜4個あります。中性花は装飾花ともいい、結実することはなく、花弁状に変化した大きなガク片がつきます。ガク片は3〜4枚、卵形で先が丸く、隣のガク片と重なります。

■ アマチャの生の葉は、甘味はなく、苦味を感じます。甘茶の製法は、採取した葉を発酵させた後、自然乾燥するという手順で行います。 乾燥に時間をかけることで、苦味成分が分解し、甘味成分に変化します。茶葉を煮出した煎液は、4月8日の花祭りで、釈迦像にかける甘茶になります。
薬用としては、甘茶は非糖性であるため、糖尿病患者の甘味料に利用できます。また、飲みにくい薬の味を調整して、飲みやすくする矯味料としても用いられています。 なお、従来、有毒成分は確認されないものの、濃い煎液では、嘔吐を伴う軽い中毒症状※2がでることもあります。

狭義の アマチャ
Hydrangea macrophylla Ser.var.thunbergii Makino
属名 Hydrangea は、hydro 水+ angeion 容器 からなり、水の器、水瓶を意味します。アジサイの刮ハ(さくか)の形が、水瓶に似ていることからつけられたとされます。 また、アジサイ属の性質が、多くの水分を必要とし、湿り気のある場所を好む傾向があることも、命名由来の一因となったという説もあります。 種小名の macrophylla は、大きな葉の。変種名 thunbergii は、人名由来。

※1 日本薬局方に収載された学名による。植物学的にはヤマアジサイの変種ではなく、同一種とみられる。
※2 厚生労働省・自然毒のリスクプロファイル

ヤマアジサイ / アマギアマチャ ヤマアジサイ 別名 サワアジサイ
Hydrangea macrophylla Ser.var.acuminata Makino
■ ヤマアジサイは、関東地方以南の主に太平洋側の山林に自生します。沢沿いに多いことから、サワアジサイの別名があります。 アマチャの母種※3であるので、基本的には花の色彩や葉の形状は類似しますが、地域によって花色の変異があります。 関東地方では白花タイプが見られ、関西方面では、アマチャ同様の淡紫色になることから、いくつかの亜種に分かれるという見方もされています。
変種名の acuminata は、先の細い、先の尖った の意味。

※3 個体選別の元になった種という意味で使用。

■ アマギアマチャは、ヤマアジサイの変種で、伊豆地方に自生する、高さ2m程度の落葉低木です。 葉はヤマアジサイより幅が細く、披針形から広披針形をしています。花はすべて白色で、やや小型、中性花のガク片は4〜5枚、葉と同様に幅が狭くなっています。
生葉の状態でも、甘みが感じられ、アマチャの代用になるといわれます。実際にはアマチャより甘みが少ないため、利用されていないようです。 また、日本薬局方の基原植物としても未収載であるため、生薬の対象外になります。
変種名の amagiana は、天城の、天城産の の意味です。 なお、天城という地名は、地元でアマチャを甘木(あまぎ)と呼んでいたことが由来とする説※4があります。

※4 多雨地域なので、雨木が語源とする説もある。
アマギアマチャ
Hydrangea macrophylla Ser.var.amagiana Makino
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